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僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)

僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)
泉 流星
僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)
定価: ¥ 460
販売価格: ¥ 460
人気ランキング: 19634位
おすすめ度:
発売日: 2008-06-30
発売元: 新潮社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

自画自賛のアリア
わたしはアスペルガー診断済です。自分と同じ障害をお持ちの方が自分で書いた本というので、『僕の妻はエイリアン』期待して読みはじめました・・・が肩透かしでした。

同じことばかりが書いてある本という印象は否めません。(1)自分の能力とか特技の誇示(英語が巧い、料理にセンスがある、旅行名人である、有名人と接触がある・・)、(2)出来ないことと障害の関連・言い訳(周囲が障害に理解がないから仕事が出来ない、田舎だから仕事がない、車が運転できないから家の外へ出られない、うるさい障害者は好きじゃないから施設へは通いたくない・・)が続きます。自分で自分を褒めちぎって書くために、こういう「夫が書いた」という設定にしたのかなとふと思いました。結局のところ自慢と愚痴しか書いてないのでアスペ当事者が読んでも大して参考にならないのです。

アスペだから鬱になった…というのは分かりますが、アルコールにはまったのは本人がだらしがないからでは。全てのアスペの人が飲酒の問題を持つとはとても思えません。そのアルコール依存から立ち直ることが出来たのも「自分の情報収集能力と、自分の行動力のおかげ」というくだりでは完全にしらけてしまいました。

それにこの本は「健常者と結婚できたアスペルガーの女性」「健常者の夫が全ての金銭的ニーズと社会的保護を与えてくれる」ケースです。泉さんは自分がどれだけ恵まれているか分かっていらっしゃる?。
しかしアスペの男女も結婚できなかった場合、自立・自活を強いられるわけで、泉さんのように「働きたくなければ働かなくってもいい」「福祉1本に頼らなくてもいい」という理想的環境にあるわけではありません。その問題の深刻さがまるで触れられていないのがこの本に共感できない理由です。

全てを先天的障害のせいにするのは間違っていますが、健常者であれば享受できた人生が、アスペによってかなり狭められることは事実です。その怒りや悲しみが、泉さんの本を読んでも全く伝わってこないのですよね。

泉さんだけでなくニキリンコさんとか、アスペで有名になった女性の本を読んでいても、自分の特殊性に著述のエネルギーを傾けていて(だから自分を平気で異性人扱いできるのだと思う)、「だったらその特殊で奇形な自分がいかにして自活・自立を成し遂げたか」という体験と知恵が欠けています。




よく頑張ったね
可愛いと思って結婚した彼女は一緒に暮らし始めるとなんだか変。実はアスペルガーだった。その奇妙奇天烈な結婚生活。それを当事者が書いている。

なるほどこれは大変。旦那も大変だなぁ、とつくづく同情と尊敬に耐えないが、それにも勝る、アスペルガーご当人奥さんの地球人の振りをする努力。その努力が切なくも健気で読ませる。最後には良い医者に当たって、正しい診断をしてもらい、対処法が開けてくる。

私はこれほどではないが、どうも少しアスペルガーの気があるのではないか?と読むうちに思わせるのは著者の筆力か、私が本当にアスペルガーの気があるのか?

敏感な読者は読みながら何かを感じるかもしれないが、最後にそれが何であったかの種明かしがある。

新聞も読まずパソコンにも触らずに一気に読んでしまった。それだけ魅力があった。少なくとも私には。

アスペルガー症候群(高機能自閉症)の妻から見た日常生活とは?
アスペルガー症候群とは「興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害」であって、端的に言えば「知的障害がない自閉症」だそうです。(Wikipediaによる) そういう人にとって日常生活・夫婦共同生活はどの様に目に映るのか良く分かります。夫も妻も最初は妻が抱える本当の問題を正しく認識できず、お互いに夫婦間の「異文化衝突」に疲れ果て、夫婦生活の危機を迎えるのですが、いったん妻がアスペルガー症候群に属するらしいということが判明すると、お互いの意識のズレに関する理解が進み、状況が"カイゼン"されます。その過程が、あまり深刻にならない程度にユーモラスに語られます。数時間で一気に読了しました。この夫婦に心から拍手を贈りたい気分です。(^-^)

普通学級の約6%はこういう症候群に属するらしいという下りを読むと、そう言えば自分の周りにもこういうコミュニケーション下手な人(空気読めない人)は居るなぁと気付きます。その人達も、ひょっとしたら"潜在的アスペルガー症候群"なのかもしれません。その人達とどういう風に接すれば良いのか、本書を読んで心の準備が出来た気がします。『異文化衝突』から『異文化交流』へと発展できるかもしれない、という可能性に気付けたのは大きな収穫でした。「ぼくには数字が風景に見える」(D.タメット)と同様、「人間の『個性』のスペクトラム」に関する理解が深まる本です。(人間の『個性』もソフトウェア同様「"バグ"ではなく"仕様"」と捉え直せることに気付くことが肝要ですね)

【注】「あとがき」は先に読まない方が良いです。ネタばれになってしまいます。なお、文庫化に際し作家・市川拓司氏(代表作『いま、会いにゆきます』)が解説を寄せています。この市川氏にも拍手を贈りたいです。

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